耳に装着するだけで、プロ信頼のブランド「JBL」の高音質。
2019年ごろから活況を呈するノイズキャンセリング搭載の完全ワイヤレスイヤホン市場。ITメーカーや電機メーカーが主導するカテゴリに、プロミュージシャンからも信頼を集める音響ブランド「JBL」が参入しました。
いったい「あのJBL」は、どのようにノイズキャンセリング対応の完全ワイヤレスイヤホンを解釈したのでしょうか?
そのキャリアの中でJBLサウンドに触れ続けてきたギズモード編集長の尾田が、実際に製品を使用してのインプレッションを思う存分に語ります。
ギズモード編集長が試した、JBLの最新イヤホン2機種
今回、尾田が試用したモデルは次の2機種。
CLUB PRO+ TWS(写真左)
価格:22,800円(税抜)
LIVE FREE NC+ TWS(写真右)
価格:14,800円(税抜)
いずれもアクティブノイズキャンセリングを搭載した完全ワイヤレスイヤフォンです。しかし、それぞれに独自のキャラクターを持った、別カテゴリとも言えるプロダクトに仕上がっています。
自他共に認める音楽好きであるギズモード編集長・尾田は、この二つのプロダクトを使い、どのように感じたのでしょうか。
尾田和実(おだ・かずみ)
シンコー・ミュージック、MTV JAPAN、サイバーエージェントの編集長・ディレクター職を経て、現在、ギズモード・ジャパン、ルーミー、FUZEの編集長を兼務。
プロが信頼し、オーディオマニアが憧れる「JBLサウンド」
尾田:ライブイベント、コンサート、スタジオ収録etc.。音楽専門のテレビチャンネルで経験を積んできた僕にとって、JBLは常に安心と信頼のブランドでした。そうした現場ではしばしばJBLのスピーカーが使われていて、機材にあのオレンジのロゴがあるだけで、「あ、この現場は大丈夫」と安堵したものです。要は、JBLとはプロの現場でもそれほど厚い信頼を集めるブランドなのです。
もっと記憶をたどれば、JBLは「憧れのブランド」でもありました。僕より遥か上の世代にとって、JBLのスピーカーは伝説といってもいいほどオーディオ界の絶対王者で、大枚を叩いてそれを所有することが「オーディオマニアの証」だった時代があったのです。小学生時代の僕はそんなJBL伝説に感化され、図画工作の写生の自由課題で「JBLのスピーカー」を描いて、先生にこっぴどく怒られたこともありました(写生なのに定規をつかったから)。
僕がイメージするJBLのサウンドは、まず芯のしっかりしたファットな低域があって、その上に遠くまでよく飛んでいくような伸びのいい高域がある。それぞれの帯域がスムーズに鳴っていて、全体をずっしりとパワフルに聴かせてくれる。音楽は結局のところ空気を震わせることでリスナーに伝わってくるもので、JBLのスピーカーはその空気の震わせ方に長けている印象がありました。
それはおそらくエンジニア、そして音を設計するオーディオロジスト(聴覚の専門家)たちが無類の音楽好きだからこそだと想像できるのです。これはヘッドフォンにおいても同様で、こうした「JBL Pro Sound」が今なお多くのミュージシャンや音楽愛好家たちに信奉されているのも、気分良く演奏の真価を楽しめる、輪郭のはっきりしたJBLのサウンド・キャラクターならではと考えます。
DJ用ヘッドホンの流れを汲む、フラッグシップ「CLUB PRO+ TWS」
尾田:JBL初のノイズキャンセリング搭載完全ワイヤレスイヤホンとしてリリースされた「JBL CLUB PRO+ TWS」は、プロDJたちから評価されるオーバーイヤーヘッドホン「CLUB ONE」と同ラインにあります。デザインもミュージシャンがステージ上で耳に装着するプロ用の「イヤモニ(イヤーモニター)」を想起させる独特の形状がかなり好みだったので、モニター試聴するのを楽しみにしていました。
サウンドを聴いて最初に感じたのは、低域の質感が僕のよく知る「JBL Pro Sound」だったこと。間違いなくJBLスピーカーで慣れ親しんだ「あの音」です。しっかりと低音が効いているのですが、不自然にブーストしたものではなく、相対的に中域から高域にかけての解像度も際立っていて、いわゆる「ドンシャリ(高域と低域を極端に強調したサウンド)」とは一線を画すものになっています。おそらくドライバの設計が優れているのだと思います。全体としては、ずっしりとした骨太な音響に仕上がっていて、完全ワイヤレスであることを忘れてしまいそうです。
尾田:さらにスマートフォンと連携するアプリ「My JBL Headphones」を使うと、イコライザーの調整など音質のカスタマイズができます。世界の人気DJがチューニングした「STAGE+」プリセットもあり、こちらは実際のクラブの現場にいるような楽しさがあるのですが、個人的にはノンイコライジングでも全然OKでした。僕はイコライザーをけっこういじる方なのですが、JBLはどこかの帯域が物足りないとか、逆に出過ぎだとか、そういう不満はまったく感じません。
尾田:フィードフォワードとフィードバックの両方を使ったハイブリッド方式のノイズキャンセリング機能も効きは業界トップクラスと言っていいでしょう。
特に中・高域のノイズには効果的で、大音量が鳴っているクラブの真ん中で使っても大丈夫じゃないか?って思うほどよく効きます。音質が良いイヤホンだけに、このくらい効きの良いノイキャンと組み合わせると、音楽への没入度が俄然アップします。
JBLのこだわりとして、「JBL CLUB PRO+ TWS」のノイキャンは、単純に外音を遮断するのではなく、前述の「JBL Pro Sound」のサウンドを際立たせる意図があるんだと納得しました。
これならたとえば、クラブDJが会場に行く前の移動中に選曲をチェックしたりする用途にもあっているように感じます。前述のオーバーイヤー型の「CLUB ONE」が、実際のDJプレイをする時のモニタリングに耐えうるモデルであることを確認していたので、こちらと同じラインの 「JBL CLUB PRO+ TWS」をセットで組み合わせて使うのがDJにはおすすめです。今はお休み中ですが、僕もDJ活動を再開したら、必ずこのコンビネーションで挑むことを約束します(笑)。
尾田:使い勝手の面でとてもいいと思ったのが、Bluetoothペアリングのシンプルさ。ケースを開くだけで、自動的に接続できる仕様になっているのです。耳に装着してからペアリングするのって、メーカーによってボタンやタッチ操作の仕方が違うので、僕みたいに多数のモデルを試す仕事だと混乱することが多いのです。これはシンプルでわかりやすく、とても実用的。
耳への装着感も良く、一旦セットすればぴたっとハマって外れにくいのですが、イヤホン自体の形状のせいか、着けるときに若干コツが必要です。挿入してから耳の形状にあわせてほんの少しだけ回転させる感じ。最初つけた時はこの回転の角度が大きかったのですが、メーカーの方のアドバイスで、あまり「JBL」のロゴが傾きすぎないようにして、アプリ「MY JBL Headphones」で装着感をチェックしながら微調整したら、ベストなポジショニングがわかり音質もかなり向上しました。
尾田:イヤーピースは4セット付属しているので、耳の大きさに合わせて付け替えればうまく装着できるでしょう。最近僕は左右の耳穴のサイズが微妙に違うことに気が付いて、右が大き目、左が小さめのイヤーピースを試すことが多いのですが、こちらも「MY JBL Headphones」で最適なサイズをチェックすることができました。
「JBL CLUB PRO+ TWS」は完全ワイヤレスですので、DJプレイやライブモニターにそのまま使えるというわけではありませんが、サウンド、フィーリング、操作感、そしてデザイン、どのアングルからもプロスペックのカッティングエッジさをうまく完全ワイヤレスというジャンルに持ち込んだ新しい感覚のモデルと言えると思います。端的にいうと「カッコいいイヤホン」。それって、あるようでこれまであんまりなかったですよね。
カジュアルにJBLサウンドを楽しめる「JBL LIVE FREE NC+ TWS」
尾田:一方で、JBLは「CLUB PRO+ TWS」よりもう少し普段使いに最適化したモデルをラインナップしています。よりリーズナブルでカラーバリエーションも豊富な「JBL LIVE FREE NC+ TWS」です。
こちらは1万円台中盤でアクティブノイズキャンセリング機能搭載というのがまず画期的。サウンドも「CLUB PRO+ TWS」と同サイズ6.8mmのダイナミックドライバーを搭載し、しっかりとあのJBLサウンドを再現しています。ただし、JBLプロサウンドという観点から考えると、こちらはプロやハイアマチュアをターゲットにしたものではなく、はっきりとより幅広いユーザーに向けたチューニングが施された音という感じ。より長時間聴いていても疲れないサウンドに仕上がっています。
尾田:印象的だったポイントが二つあります。ギズモードでは毎日オンライン会議をZoomやDiscordで開催しているのですが、ことオンライン会議という用途に限っていうと、「LIVE FREE NC+ TWS」のほうが「CLUB PRO+ TWS」より会話の聞き取りはしやすかったです。おそらく低音がしっかりしているといっても「CLUB PRO+ TWS」ほどではないので、音声がよりフラットに伝わっていたのではないかと思います。と言っても「CLUB PRO+ TWS」がオンライン会議向きでないということではありません。こちらも標準以上に通話がしやすかったです。特に、3マイクのビームフォーミングテクノロジーは優秀で、マイクを通してこちらの声をほめられることが多かったです。周囲の音の回り込みやリップノイズもきちんと防御されていました。
もうひとつのポイント、それは優れた防水性能です。「LIVE FREE NC+ TWS」は、国際規格のIPX7対応で、これはいわゆる生活防水より上の水準にあたります。具体的には、「一時的(30分)に一定水深(1m)の条件に水没しても内部に浸水しない」というレベル。僕は傘をさすのが大嫌いなので、普段から防水・撥水のアウターを着用していることが多いのですが、これは雨どころか、もし水たまりに落としてしまったとしても安心なんじゃないかな(笑)。
ワイヤレス充電や音声アシスタント対応。JBLが生活に溶け込む
尾田:「CLUB PRO+ TWS」「LIVE FREE NC+ TWS」の両機種ともワイヤレス充電に対応し、バッテリーはノイズキャンセリングをオフにした状態で、「CLUB PRO+ TWS」が本体約8時間、充電ケースもあわせると合計約24時間使用可能です。「LIVE FREE NC+ TWS」は、本体約7時間、+充電ケースで合計約21時間。あと、僕は普段アシスタントとしてAmazon Alexaのお世話になることが多いのですが、本体側面のJBLロゴをタップするだけで、いつでもAlexaとの会話を開始できるのはかなりありがたかったです。
最後に、スペックからは見えないところですが、Bluetoothを接続したり、ノイキャンをアクティブに切りかえたりした時の応答音がぜんぶギターやピアノをポロンと弾いた楽器音なんです。これがクラブやロックだけでなく、アコースティックなサウンドの再現性にも優れたJBLらしくて、このブランドのことがあらためて好きになりました。音楽に寄り添っているところ。まさに「MY JBL」といいたくなる温もりがあります。JBLのロゴがいつも耳元にある、それって実はすごいことなんじゃないかな。きっとメーカーサイドもそんなプライドをもったものづくりをしていると思います。
どちらを選ぶか悩ましい、JBL初のノイキャン完全ワイヤレスイヤホン
ギズモード編集長の尾田が語る通り、「CLUB PRO+ TWS」「LIVE FREE NC+ TWS」はともに歴史と信頼のJBLサウンドを踏襲しながら、異なるキャラクターを持ったノイズキャンセリング完全ワイヤレスイヤホンに仕上がっています。
イヤモニのようなルックスと迫力の低音が楽しめる「CLUB PRO+ TWS」か、よりコンパクトかつカジュアルなサウンドの「LIVE FREE NC+ TWS」か。
いずれもノイズキャンセリングを搭載しているので、どちらを選んでもシチュエーションを選ばずJBLブランドによる高品質な音楽体験を得ることができます。プロが信頼し、オーディオマニアが憧れ続けてきたJBLのプロダクトを前にして、「どちらにしようか」と迷えるなんて、なんともいい時代ではないでしょうか。
Text: Hidetoshi Tatsumi, Kenta Terunuma, Kazumi Oda
Place: PLUS TOKYO
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