Pages

Wednesday, July 28, 2021

原点に立ち返った“オリンパスPEN” 誰もが軽快に写真を楽しめる「E-P7」 - ITmedia

 オリンパスからOMデジタルソリューションズ(以下、OMデジタルと略す)が分離されて半年。まだオリンパスブランドのデジカメは開発されているのか、「OM-D」や「PEN」はこの先一体どうなるのか心配してた人もあろう。

 大丈夫、OMデジタルになって初の新製品がちゃんと登場したのだ。それも久々のPENだ。

PENらしさを保ちつつスッキリしたデザインになった「E-P7」。待望の新作PENだ。ボディのみで8万円前後

 待望の「E-P7」である。非常にPENらしいシンプルで四角くて軽くて小さいミラーレス一眼だ。

軽くて手頃で使いやすいE-P7

 まずは四角いボディに「OLYMPUS PEN」のロゴ。会社はオリンパスから分離独立したけれども、オリンパスブランドは引き続き使えるので「OLYMPUS PEN」で正しい。ユーザーもそうでない人も「オリンパスのペン」と言っちゃっていい(たぶん)。

薄型電動ズームの14-42mmを装着したE-P7のホワイトモデル。ブラックモデルもいいけどこれも魅力的かも

 重厚感よりも軽快感って感じ。なにしろ、エントリー向けの「E-PL10」より43g軽くて軽快感があるのだ。そしてちょっと直線的に四角くなったのがよりPENらしくてよいと思う。

 大きさは「PL10」と同じくらい。

 グリップ部は少し出っ張っており、けっこう持ちやすい。

正面から。マウントはマイクロフォーサーズ。向かって左下にあるレバーが新しいスイッチだ。ロゴは「OLYMPUS PEN」

 マウントの右下に1つレバーがある。これはプロファイルコントロールスイッチで、かつてのハイエンドの趣味モデル「PEN-F」の特徴の1つだった「クリエイティブダイヤル」を継承したものだろう。

PEN-Fのクリエイティブダイヤル。この思想がE-P7のプロファイルコントロールスイッチに受け継がれたのだと思う。E-P7にはPEN-Fの要素もちょっと入ってるのだ

 イメージセンサーはマイクロフォーサーズ。もちろんボディ内手ブレ補正付きだ。補正性能はハイエンド機には劣るけれども最大4.5段分。定評あるオリンパスの手ブレ補正で数値以上に実用的な補正をしてくれる。

シャッタースピードを落としてもこのくらいなら余裕の1/3秒。夜の静寂感が出てて良い(14-42mm 14mm 1/3秒 F3.5 ISO800)

 画素数は2000万画素。残念ながら像面位相差AFではなくコントラスト検出AFだ。でも、ハイエンドの「E-M1」シリーズには及ばないが、AFは実用レベルで高速で正確。AF枠を小さくして狙ってやればこういう写真もさっと撮れる。

 レンズは12-40mm F2.8のプロレンズを使ったけれども、シャープでフォーカスもきっちり合ってて良い写りだ。

ラベンダーの花を渡り歩いていたミツバチ。AF枠を小さくしてタッチAFでさっと合わせて撮影した。写りもシャープで良い(12-40mm 40mm 1/1250秒 F2.8 ISO200)

 いうなれば最新技術をがっつり搭載した高性能ハイエンド機ではなく、小さくて軽くて誰もが写真を楽しめるコンパクトなカメラというPENの原点に立ち返った製品と思えば納得できると思う。

 でも、思い切りエントリー向けに振ったPLとも違う。何より電子ダイヤルが2つ付いていて使いやすい。

 上から見るとよく分かる。PLシリーズは1つだけだったので使っててもどかしいことが多々あったのだ。

上面から。左肩は内臓フラッシュ。右肩に撮影モード、電源スイッチ電子ダイヤルなどが集中していて使いやすい

 これだけで使い勝手はずいぶん違う。

 この操作部には電源レバーやショートカットキーもあり、まとまってるのがよい。

操作部のアップ。前電子ダイヤルの右にあるショートカットキーの使いこなしがキモだ。電源スイッチがレバー式なのは分かりやすくていい

 背面はシンプル。EVFはなく背面モニタで撮る仕様だ。モニターは上下にチルトするタイプでタッチパネル対応。

背面から。EVFはなし。モニターはタッチパネル式。モニターの右にシンプルにボタンが並ぶ
モニターはチルト式でローアングルにもハイアングルにも対応。バリアングル式と違い、モニターが光軸上にあるのでローアングル時も構図を決めやすく撮りやすい。これはアートフィルターで撮影しているところ

 両方向にチルトするのでハイアングルでも撮りやすい。これは高輪ゲートウェイ駅近くで発掘された明治時代の鉄道用築堤跡。たまたま囲いの上から覗ける場所があったのでモニターを下に開き、腕を伸ばして上から撮ってみた。こういう撮影をさっとできるのはチルト式の良さ。

腕を伸ばして囲いの上から高輪築堤跡を撮ってみた。これができるのもチルト式モニターの良さだ(12-40mm 12mm 1/800秒 F5.0 ISO200)

 さらにPL10のように下向きに180度回転させると自撮りもできる。

モニターを下に回転させて自撮り対応。自動的にシャッターボタンやセルフタイマーなど自撮り時に使うボタンが画面に現れるのは便利

 自撮り時は画面上にタッチシャッターや再生ボタン、セルフタイマーなど必要な機能が表示されるので使いやすい。PLシリーズの伝統だ。

オートモードで自撮り。こういうとき、薄型電動ズームは軽くて構えやすくていいけど、もうちょっと広角が欲しいかな。悪天候のため橋の下で撮ったがそれでこの写りは良い(14-42mm 14mm 1/1000秒 F4.0 ISO400)

写真を楽しむための撮影モードとプロファイルセレクター

 ではいろんな撮影をしつつE-P7を楽しんでみたい。

 まずは人物をオートで。オートポジションではeポートレートアイコンをタップすることでちょっと肌を滑らかにしてくれる。もちろん瞳AF搭載なので人を撮るときはピシッとフォーカスがくる。

 レンズは14-42mmの薄型軽量キットレンズだ。

雨が降ってたので傘をさしてポートレート。オートモードで撮影。雨天下でも色はナチュラルに出てて肌も滑らか。肌を滑らかにする「eポートレート」はオンにしてある(14-42mm 24mm 1/400秒 F4.5 ISO200)

 では、新たに搭載されたプロファイルセレクターを使ってみよう。

 レバーをCOLOR/MONOにするとカラーやモノクロのいろんなプロファイルが登場し、それぞれについて色の細かいコントロールやビネットなど絵作りを楽しめるようになっている。

新設のプロファイルコントロールスイッチ。これを入れるとカラーやモノクロのプロファイルを変えたりいじったりして絵作りを楽しめる
モノクロとカラーそれぞれ4種類のプロファイルがあり、色のバランスやビネット、階調などがカスタマイズできる

 これはカラープロファイル3番で撮影したもの。いくつか撮ってみて、個人的に気に入ったのが3番だったのだ。レンズはシグマの56mm F1.4を装着。

カラープロファイル3を使って懐かしい雰囲気のポートレートを撮ってみた。印象的なカットにしたいと思ったらレバー1つでさっとオンオフできるのがうれしい(56mm 1/1250秒 F1.4 ISO200)

 プロファイルは全部で8つある。並べるとこんな感じだ。結構違うのが分かるかと思う。

プロファイルを変えながら撮ってみた。色のバランスや諧調がずいぶん違うのが分かると思う。特にモノクロは色のバランスを変えているのがよく分かる

 なんてことない日常もちょっとプロファイルを変えてやることで印象的な写真になるのが面白い。

モノクロプロファイル1にビネットをかけて撮ったなんてことない駅の通路。シャドウ部をグッと締めたいと思ったのでこのプロファイルにしてみた(14-42mm 14mm 1/125秒 F5.6 ISO200)

 さらにPENといえばアートフィルターってことで、そこからネオノスタルジーを。

アートフィルターからネオノスタルジーを(56mm 1/400秒 F1.4 ISO200)

 普通の作例も載せておこう。

 定番のガスタンク。これはオートモードで撮影。レンズは14-42mm F3.5-5.6

いつものガスタンクを14mmで。雲が多かったので全体にコントラストは高くないが、滑らかでスッキリした写りを見せてくれた(14-42mm 14mm 1/800秒 F6.3 ISO200)

 残念なのはキットレンズ。薄型軽量のスナップに向いた沈胴式電動ズームレンズだが、いささか古い。35mm換算で28mm相当から82mm相当なのだが、今は24mm相当スタートが標準と思っていい。もうちょっと広角スタートの新しいコンパクトなズームレンズが欲しいところだ。

 薄型ではないのでいくらか嵩張るけれども、軽くて手頃な価格のレンズとして「M.ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4.0 PRO」をお勧めしたいかも。これなら幅広い撮影を楽しめて良い。

 写りを最優先で考えるなら、これのワンランク上の「M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO」もいい。これは個人的にも愛用してる。

E-P7に12-40mm F2.8のPROレンズを装着。このくらいのレンズなら大きさのバランスも悪くない

 なお、ISO感度はISO200から25600。マイクロフォーサーズなのでそれほど高感度に強いわけではないが、ISO6400くらいなら常用できそうだ。

ISO200から25600まで撮影し、中央部を拡大して並べてみた。最高ISO感度はイマドキのデジタル一眼としては高くないが、ノイズも少なく結構感度を上げても使えそうだ

 さらに、APモードにすればライブコンポジットやHDRなど特殊な撮影もさっと楽しめる。

新しいPENの誕生だ

 E-P7はE-P5の後継機か、というと、ちょっと違う。PLとPが統合された新しいPENという印象だ(実際に統合されるかどうかは知らないけど)。ニュアンスとしてはPLの要素が入ったPシリーズという感じで、E-P5より軽くて軽快だ。

 おかげで実にコンパクトなスナップ用ミラーレス一眼として日常的に持ち歩けるカメラになった。EVFがないのは残念だが、その分ボディも軽くて小さいし価格も非常に手頃なので、どっちをとるかという問題なんだけど、誰でも気軽に写真を楽しめるのがPEN、と思えばこれは正しい選択かと思う。

 難点はバッテリー周り。USB充電できるのはいいが、2021年の新製品でコネクターがmicro-B端子というのはちょっと理解不能だ。

 気になったのはそこくらい。

 PENシリーズは魅力的だけどPLシリーズはエントリー向きすぎてちょっと……という人もE-P7ならそそられるはずだ。サブ機としても楽しめそうだ。

 もう1つ、最近のミラーレス一眼はハイエンド機や動画モデルにばかり力を入れてて、手頃な価格とサイズで高画質で気軽に持ち出せるカメラがない、と思ってた人にこそE-P7といっていいかも。

Adblock test (Why?)


からの記事と詳細 ( 原点に立ち返った“オリンパスPEN” 誰もが軽快に写真を楽しめる「E-P7」 - ITmedia )
https://ift.tt/3BRwxQ8
科学&テクノロジー

No comments:

Post a Comment