パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が16日に行った記者会見のトーンは、3月に新型コロナウイルス禍が深刻化して以降、最も楽観的なものだった。パウエル氏は同時に今後もずっと米経済を強力に下支えする方針を表明した。
波乱に満ちた今年を締めくくる連邦公開市場委員会(FOMC)後の会見でパウエル氏は、米国民の間でウイルスワクチン接種が進めば、2021年下期には経済の「力強い」パフォーマンスが見込まれると説明。ただ、そうなるまでの今後数カ月は「厳しい」状況が続くだろうと語った。
パウエル氏は「トンネルの先に明かりが見えるような状況になった」とした上で、「これが新たな長期拡大局面につながるのではないかと考えている」と話した。
FOMCメンバーは16日、失業減少とインフレ率押し上げで「一段と顕著な進展」が見られるようになるまで、月間で少なくとも計1200億ドル(約12兆4000億円)規模の債券購入を続ける方針を決めた。市場アナリストの一部は、22年にかけてこのペースで支援を継続することを意味するものと受け止めている。
ピクテ・ウェルス・マネジメントの米国担当シニアエコノミスト、トーマス・コスターグ氏は「ワクチン接種の普及に伴って、来年半ばまでに集団免疫面で有望な展開が想定されるとして、パウエル氏は特に来年下期の見通しについて極めて楽観的だった」とコメント。「そうであっても、金融政策のコミュニケーションは引き続き超ハト派のままで、こうしたかなり明るいマクロ展望を踏まえれば、一層ハト派色が強い」と指摘した。
FOMC参加者が最新の経済予測で示した21年と22年の実質GDP(国内総生産)伸び率予想中央値はそれぞれ4.2%、3.2%と、9月の前回予測から上方修正された。その一方で、少なくとも23年いっぱいはフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標をゼロ近辺に維持するとの見通しは据え置かれた。
パウエル氏は「回復がしっかり定着するようになるまで、極めて緩和的な政策を保つつもりだ」と強調した。
米国株のバリュエーション高騰、パウエルFRB議長は重大視せず
原題:
Powell Sees Light at End of Tunnel and Policy Staying Very Easy(抜粋)
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