低糖質・低カロリーで注目を集めたカリフラワーは、食べごたえがあって栄養価も満点と、積極的に食べたい野菜のひとつです。でも、食感がモソモソしていて食べづらいとか、レシピがマンネリ化してしまう、という悩みも聞かれます。
そこで今回は、いつも新しいアイデアレシピを提案している料理家の上島亜紀さんに、カリフラワーをもっとおいしく食べたくなるような、ちょっと新鮮味のあるレシピを考案していただきました。
生でも加熱しても食べられる
カリフラワーは栄養の塊!
カリフラワーは、地中海沿岸を原産地とする野菜。「kale flower」が語源になっているとおり、「ケール」が祖先です。日本の一般家庭に普及しはじめたのは第二次世界大戦後で、徐々にその人気が広まりました。とくに近年は、その栄養価の豊富さと、低糖質や低カロリーであることが着目されており、なかでもカリフラワーを細かく刻んでお米に見立てた「カリフラワーライス」が流行。一気に注目度が高まったのは、記憶に新しいところです。
食物繊維やビタミンCが豊富。とくにビタミンCは、一日に100mg摂取すると望ましいといわれていますが、カリフラワーは100gに80mgものビタミンCを含んでいます。また鉄やカリウムも豊富で、栄養満点の野菜といえるでしょう。今回紹介するレシピは、そんな栄養を余すところなく食べられるレシピばかりです。
カリフラワーの正しい切り方
カリフラワーは、花になる前の“花蕾(からい)”と呼ばれる小さなつぼみ部分を食べる野菜。この花蕾の部分をむやみにカットしてしまうと、ボロボロと細かくこぼれ落ちていってしまいます。まずは軸の部分に包丁を当てて軸だけを切り、花蕾は手で割くようにして小房に分けます。
ではここからは、上島さんにカリフラワーを積極的に食べたくなる、ちょっと新鮮味のあるレシピを教えていただきましょう。
和えるだけで華やかなごちそうに。
「カリフラワーと苺のサラダ」
スライスしたカリフラワーを生のままいただくレシピ。取り合わせたのは、白いカリフラワーとのコントラストが美しいイチゴです。
「いちごは断面の色がグラデーションになっているので、切るとより彩りが美しくなります。どちらも同じように縦にスライスして、西京味噌をベースにしたドレッシングを和えています。甘酸っぱいいちごと西京味噌のコク、最後にふりかけた柚子の香りが、歯ごたえのあるシャキシャキのカリフラワーを一層おいしくしてくれます。一年中出回っているカリフラワーですが、生で食べるなら旬になる秋冬がおすすめ。いちごも柚子も秋冬の旬食材ですから、寒くなった季節にぜひ作ってみてください」(料理家・上島亜紀さん、以下同)
【材料(2人分)】
・カリフラワー……1/2株
・いちご……5~6個
・西京味噌……大さじ1
・はちみつ……小さじ1
・白ゴマ油……大さじ1
・柚子果汁……大さじ1
・水……大さじ1
・柚子……適量
【作り方】
1.カリフラワーは縦にスライスし、いちごは5mm幅の薄切りにする。
「カリフラワーは、そんなに薄く切らなくても大丈夫です。ドレッシングを和えて少し馴染ませることで、固い茎もしっとりと落ち着いて食べやすい食感になります」
2.調味料を混ぜ、ドレッシングを作る。カリフラワーといちごにドレッシングを少量だけ加えて和え、器に盛りつける。
「ドレッシングは、下味として少しだけ先に馴染ませておき、食べるときに各自かけていただきます。カリフラワーにいちごの赤がうつってしまうので、混ぜるのは食卓に出す直前にしましょう」
お好みで、最後に柚子の皮をすりおろします。香りがさらに豊かになり、見た目にもきれいですよ。
セロリが香りのアクセントに。
「サーモンとカリフラワーのマスタードクリーム」
マスタードがたっぷり入ったソースが決め手になる、メインディッシュ。大ぶりに切ったカリフラワーはさっと炒め、食感と存在感を残しています。
「サーモンも秋冬が旬になる魚なので、旬の時期に作ってほしいレシピです。薄切りにしたセロリと、盛りつけたセロリの葉が香りのアクセントになります」
【材料(2人分)】
・サーモン……2切
・カリフラワー……1/2株
・セロリ……1/2本(セロリの葉5枚くらい)
・小麦粉……大さじ1/2
・塩……小さじ1
・粗挽き白胡椒……小さじ1/4
・オリーブオイル……大さじ1/2
〈A〉
・生クリーム……100ml
・粒マスタード……大さじ2
【作り方】
1. サーモンは皮を取り除いて3等分に切り、塩小さじ1/3、粗びき白胡椒、小麦粉をまぶす。カリフラワーは食べやすい大きさに切り分ける。セロリは薄切りにする。
「魚は水分に臭みがあるので、しっかりペーパーで押さえてから調理します」
「塩胡椒を両面にふってから、小麦粉を全体に絡めましょう」
2. フライパンにオリーブオイルを中火で熱し、サーモンの両面に焼き色がついたら取り出す。
「両面を焼いたらいったん取り出し、サーモンの旨みが残っているところで、セロリとカリフラワーを炒めます」
3. セロリとカリフラワーを加えて炒め、サーモンを戻したら蓋をして弱火で3分焼く。
「蓋をして全体にじんわりと火を通していきます」
4. 3にAと残りの塩を加えて絡め、器に盛りつけたらセロリの葉の千切りをのせて、粗びき白胡椒をふる。
「マスタードと生クリームは混ぜ合わせておいてから、フライパンに流し入れます。調味料は少ないのですが、旨みたっぷりの味に仕上がりますよ」
最後はやっぱり、ヘルシーレシピ。
ヘルシーさを強調したダイエットレシピ
「カリフラワーとチキンのライスサラダ風」
粉砕したカリフラワーでライスサラダのようにアレンジしたレシピ。パクチーやライムを使った、爽やかでエスニックな香りのある料理になりました。さっぱりした味のなかに鶏と塩麹の旨みがあり、ボウルを抱えて食べてしまいたくなるおいしさです。
「カリフラワーと合わせたのは、鶏むねのひき肉です。ヘルシーで脂肪分が少なくて、ダイエットの強い味方になってくれるレシピで、良質な油を摂れるようオリーブオイルをプラスしています」
【材料(2人分)】
・カリフラワー……1/2株
・鶏むね肉のひき肉……150g
・パクチー……2株
・ライム……1/2個
・塩麹……大さじ2
・唐辛子輪切り……1/2本分
・オリーブオイル……大さじ1/2
【作り方】
1.カリフラワーは、フードプロセッサーなどで粗いみじん切りにする。パクチーの茎は、みじん切りにする。
「包丁で細かく切ってもいいのですが、フードプロセッサーを使うとあっという間にできるので便利です」
2.鍋にお湯を沸かし、カリフラワーを30秒茹でて取り出す。続いて同じお湯で鶏むね肉のひき肉を1分ほど茹で、色が変わったらザルに取る。
「カリフラワーをすくってボウルに入れたら、少しよけておいて、そこに鶏むね肉をあけると、あれこれ調理道具を使わずに作れます」
3.ボウルに、粗熱を取った2と塩麹、パクチーの茎、唐辛子輪切り、ライムを絞って混ぜる。器に盛りつけ、パクチーの葉を散らす。
「パクチーは、茎がもっとも香り高くておいしいので、捨てないでくださいね」
Profile
料理家 / 上島亜紀さん
食育アドバイザーやジュニア・アスリートフードマイスターの資格を持つ。神奈川県の自宅にて料理教室「A’s Table」を主宰。 今年の新刊に『頑張らなくていい 仕込み1分の冷凍作りおき』(ナツメ社)、『らく弁』(主婦と生活社)、『90分でできる丸いパン』(成美堂出版)がある。
取材・文=吉川愛歩 撮影=安藤佐也加 構成=Neem Tree
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