ちょうど1年前、日産自動車元会長のカルロス・ゴーン被告は楽器箱に隠れ、日本からレバノンに逃亡し世界を驚かせた。この逃亡以降、ゴーン被告の事案に関する日本国内の刑事手続きはすべて凍結している。 ゴーン被告の逃亡時、日本の検察は同被告が裏金と不正報酬により日産自動車の資金を騙し取った容疑で起訴していた。ゴーン被告のイメージは、日本、アメリカ、そしてフランスの法律の下で実際に罪を犯した可能性のある非常に貪欲な人物、となった。
■検察、ゴーンとも立ち止まったまま 一方、ゴーン被告は自身の不正行為はおろか判断ミスさえも否定。検察による告訴に対し、日本の司法制度が「人質司法」を行っていると非難した。つまり、被疑者を組織的に監禁し、保釈と引き換えに、誠実な自白であれ虚偽の自白であれ、自白を強要していると主張したのだ。 海外逃亡から1年、ゴーン被告と検察は双方それぞれの主張が真実であることを確立しようと努力しているが、本件は実質的に手つかずの状態のままである。
日本での裁判を待っていた際、ゴーン被告は検察に勾留される恐怖により自身を弁護できないと主張していた。そして、保釈されれば同被告に対する告発は虚偽であり、告発の裏には経済産業省と日本政府の政治的陰謀があったことを証明すると誓っていた。 日本から逃亡してレバノン・ベイルートに戻ってきてから、1年その「誓い」を果たす機会があった。例えばゴーン被告は2020年1月8日に行った劇的な記者会見や、それ以降に行った複数のインタビューの中で、検察による告発に反論することができたはずだ。
しかし、ゴーン被告は告発内容に対し直接的かつ説得力を持って応じたことはなかった。過去12カ月の間にゴーン被告が受けてきたインタビューはほぼ、事件の細かい詳細を知らない外国人ジャーナリストによるインタビューである。そのため、彼を拘置所に送り込んだ原因である検察側の容疑を除き、ゴーン被告はすべての話題について話してきた(日産の運命、日本の司法制度の不公平さ、フランスのエリートらによる裏切り、新妻キャロルとの関係など)。
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