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米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は2日、新型コロナウイルス禍の経済対策である緊急融資プログラムの一部終了を巡って、FRBとムニューシン財務長官の間に対立はなかったことを示唆した。
ムニューシン長官は11月19日、コロナウイルス支援・救済・経済安全保障(CARES)法に基づくFRBの緊急融資プログラムの一部について年末での失効を発表し、未使用資金の返還を求めた。しかしその直後、FRBは依然苦境にある経済を支援すべく「一連の」措置をフルに継続したいとする声明を発表し、意見対立の懸念が広がっていた。
2日の下院金融委員会の公聴会で、この件に関して質問を受けたパウエル議長は、声明にFRBと財務省との間の意見の相違を示す意図はなかったと説明した。
議長は異例の声明を出した理由として、「われわれが考えるのはCARES法の資金についてではなく、むしろ経済についてだ。FRBの姿勢が後退したと世間が解釈することを懸念した。それが事実ではないことを伝えるシグナルを送る必要があった」と答えた。
経営が苦しい企業や財政資金難の地方自治体向けのFRBの緊急融資プログラムに関連するムニューシン長官の決定は、強い党派的な反応を引き起こしている。次期財務長官への指名が発表されたジャネット・イエレン前FRB議長が来年、上院で承認されて就任すれば、こうしたとげとげしい政治情勢に直面しそうだ。
イエレン氏が就任当初に行う最初の決定の1つは、ムニューシン長官が年末に終了するとしている5つの融資プログラムへの対応だろう。中小企業支援策「メインストリート貸し付けプログラム(MSLP)」などこれらのプログラムの利用は伸び悩んでいた。
公聴会に同席したムニューシン長官は、イエレン氏とこれらのプログラムについて議論したことを明らかにした。
長官はCARES法に基づき未使用資金4550億ドル(約48兆円)を財務省の一般基金に返還する義務があるとしており、年末以降に同省が利用するには議会の承認が必要となる。
景気対策訴え
パウエル議長は公聴会で、向こう数カ月間に新型コロナ危機が深まると指摘し、失業者や中小企業、州・自治体の支援に重点を置いた追加景気対策法案の承認を議会が急ぐべきだと訴えた。
議長は「何らかの支援措置を活用するであろうセクターは多い」と発言。労働市場について「人々の仕事への復帰ペースは速く、それは非常に歓迎すべきことだが、パンデミック(世界的大流行)の影響でいまだに1000万人が失職していることを忘れてはならない」と強調した。
その上で、失業者支援で「やり残していることは多い」とし、「失業保険給付のプログラムは年末に失効する。私だったらこの点を間違いなく注視するだろう」と話した。
中小企業については、ワクチンが普及するまで事業継続に困難を来すとの見方を示し、「気温が低下する中で感染は拡大しつつある。人々は自宅にこもっている。多くの中小企業にとって厳しい状況になる」と警告した。
一方で議長は、経済の勢いに陰りが生じつつあるリスクに今月15、16日の連邦公開市場委員会(FOMC)会合でどのような対応策を取るかについてはヒントを与えず、景気回復を支援するためにあらゆる手段を用いるとの立場を繰り返した。
原題: Powell Says No Rift With Mnuchin, Signals Fed Not Stepping Back (抜粋)
(背景などを追加して更新します)
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