旺盛なマンション投資は経済成長の押し上げ要因(江蘇省常州市)
【北京=川手伊織】中国国家統計局が19日発表した2020年7~9月の国内総生産(GDP)は物価変動の影響を除いた実質で前年同期比4.9%増えた。投資や輸出がけん引役で、伸び率は4~6月(3.2%)より拡大した。他国に先駆けて経済は正常化しつつあり、成長が加速した。
成長率は日本経済新聞社と日経QUICKニュースが調査した市場予想の平均(5.2%)を下回った。生活実感に近い名目成長率は前年同期比で5.5%で4~6月(3.1%)から加速した。
中国経済は新型コロナウイルスが直撃した20年1~3月、1992年に公表を始めた四半期ベースでは初のマイナス成長に沈んだ。その後、ウイルスを抑えこんで生産が回復し、4~6月はプラス成長に戻った。
前期比の実質成長率(季節調整済み)は2.7%だった。急回復した4~6月(11.7%)よりは鈍化した。先進国のように前期比の伸びを年率換算した成長率は11%程度になる。
19日はGDP以外の経済統計も発表した。
オフィスビルや工場の建設など固定資産投資は1~9月の累計で前年同期比0.8%増えた。20年に入って初めてプラスに転じた。国有企業主体のインフラ投資が好調だった。不動産開発投資は1~9月に同5.6%増え、1~6月(同1.9%)から伸びが拡大した。新型コロナ対応の金融緩和で膨らんだマネーが不動産市場に流れ込み、一部都市ではバブル懸念も出ている。
外需も復調している。7~9月の輸出(ドル建て)は7126億ドル(約75兆円)と、四半期ベースで最高となった。輸出から輸入を差し引いた貿易黒字も、過去最高だった15年10~12月以来の高水準となった。
投資や輸出の回復が生産を押し上げる。工業生産は1~9月に同1.2%増え、1~6月の同1.3%減からプラスに転じた。9月単月では前年同月比6.9%増えた。政府の販売支援策が下支えする自動車のほか、パソコンや半導体、鉄鋼の生産量が回復している。
消費も緩やかながら持ち直す。スーパーや百貨店、電子商取引(EC)などの売上高を合計した社会消費品小売総額(小売売上高)は、1~9月に前年同期比7.2%減ったが、減少率は1~6月(同11.4%減)より縮まった。9月単月では前年同月を3.3%上回り、伸びは8月(同0.5%)より拡大した。
家計調査で見た1~9月の実質消費支出も前年同期比6.6%減と、1~6月(同9.3%減)より減少率を縮小させた。
中国共産党は20年の実質GDPを10年比で倍増する目標を掲げてきた。20年通年の実質成長率が5.6%以上なら達成できる計算だが、1~9月累計の成長率はプラス0.7%にとどまっており、目標達成は難しい状況だ。
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