新型コロナウイルスの感染者が急増する中、大学共通テストの実施日まで残り1か月となった。受験生が試験当日までに新型コロナに感染した場合、追試験は受けられるのか。
2021年度の大学共通テストには、日程が2つある。21年1月16〜17日の「共通テスト(1)」と、1月30〜31日の「共通テスト(2)」だ。「共通テスト(2)」は、新型コロナの影響で学業の遅れがあると在籍する学校長に認められた者が対象となる。いずれも追試は実施されるか、調べた。
試験当日に発熱や咳などの症状が出たら
大学入試センターの公式サイトで公開されている「受験上の注意」によると、新型コロナウイルスなどの感染症にかかり、試験日に病院や自宅で療養する人は受験ができない。ただし、本人または代理人が受験票に記載されている「問合せ大学」に連絡して申請を行うことで、追試を受けられる。申請には、受験票と医師の診断書が必要になる。
また、試験の当日に発熱や咳などの症状が出た人については、その旨を申し出るように入試センターは呼びかけている。
申し出があった場合、医師や看護師が新型コロナウイルス感染症の疑いについて確認する。疑いが認められると追試を申請することになる。また、新型コロナウイルスだけでなく、その他の体調不良や事故、両親の危篤といったやむを得ない事情がある場合にも追試を申請できる。
共通テスト(1)の追試は1月30〜31日に、共通テスト(2)の追試は2月13〜14日だ。ただし、追試を受験できなかった場合のさらなる追試は行われない。
約9割の大学が追試や振替受験行う
共通テストのほか、大学の個別入試でも追試が受けられるケースが多い。文部科学省の「大学入学者選抜に関する説明動画資料」(2020年11月25日更新)によると、入学試験を実施する全767大学のうち、698大学(91.0%)が新型コロナウイルスに感染した受験生に対し、追試験か「別日程への受験の振替」を実施する。
種類別にみると、国立では80大学(97.6%)、公立では78大学(84.8%)、私立では540大学(91.1%)がこうした措置を行う。
こうした個別入試の対応について、文科省に取材した。担当者によると、「別日程への受験の振替」とは、特定の入学試験に複数の日程が用意されている場合の対応を指す。予定していた日程で入試を受けられなかった場合に、違う日程で受験できる。
記者が調べたところ、例えば畿央大学(奈良県)の一般入試には前期日程(21年1月28日・30日・31日のどれか)と中期日程(2月19日)、そして後期日程(3月10日)が存在する。同大学の公式サイトによると、前期・中期日程において新型コロナウイルス感染症に関する事由により受験できなかった場合、後に実施する日程で受験できる。
文科省の担当者は、追試や振替措置の対象としては、新型コロナの感染者が念頭にあると話す。ただし大学によっては、インフルエンザの感染など他にやむを得ない事情に追試を受けられる場合があるとした。
一方で「説明動画資料」を見ると、9大学(いずれも私立)が追試や日程の振替について「実施しない」。文科省の担当者によると、同省は6月19日発布の「大学入学者選抜実施要項」の中で追試か振替を行うように各大学に求めた。しかし、最終的に実施するかは大学の裁量によると話した。
それぞれの大学の追試の有無については、文科省のウェブサイトから概略を確認できる。先述の担当者は、日程などの詳細を確認するには各大学の公式サイトを見るよう促した。
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