2月28日のみずほ銀行のATM(現金自動出入機)障害は、臨時で実施した定期預金のデータ更新が原因だった。メガバンクのシステム部門に長年在籍した、遠藤正之・静岡大学情報学部教授(金融情報システム)は、主に三つの課題を指摘する。①なぜ取引が集中する月末に作業をしたのか②本体の勘定系システムを守るためにATM取引を制限した運用は妥当だったのか③カード取り込みへの対応は顧客本位だったといえるのか。遠藤教授に詳しく話を聞いた。
――今回の問題をどのようにみていますか。
「初物」の処理、なぜ月末に
「まず、2月末に定期預金のデータ移行をしなければいけない必然性が説明されていません。2月は28日間しかなく、月末は取引が集中しやすい。しかも、今回はみずほが2019年に新システムを導入してから、初めて実施するものです。非定例の『初物』処理を月末に実施することは、システム部門は避けたいと考えると思います。推測ですが、この時期の移行実施は、3月までに完了させたいというビジネス側の意向があったのではないでしょうか。仮に、ウェブ通帳への切り替えで作業を急いだのだとすれば、それはみずほ側の都合であり、顧客本位ではないことになります」
――日曜日に4千台を超えるATMが止まってしまいました。システムの運用面で問題はありませんでしたか。
リスクマネジメント、想定は十分?
「設計ミスがあったと言えます。(障害が)平日ならシステムの勘定系を守り、ATMは店の人が駆けつけて対応するという形でいいと思います。しかし、休日は店舗に人がいませんので、ATMを重視した運用にすべきだったと思います。それが今回は、勘定系を守るためにATM取引を制限してしまった。平日と休日で同じ運用になっていたことは根本的な設計の問題で、リスクマネジメントの想定が不十分と言えます。守るべきものを間違っていた気がします」
――ATMに通帳やカードが取…
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