経済協力開発機構(OECD)は1日、国際的な法人税改革に関する交渉会合を開き、大枠合意した。巨大多国籍企業の税逃れを防ぐデジタル課税は、売上高200億ユーロ(約2兆6千億円)、利益率10%超の世界約100社が対象になる。法人税引き下げ競争に歯止めをかける各国共通の最低税率は「15%以上」で導入する。2023年の実施を目指す。 会合はオンラインで行われ、先進国から途上国まで約140カ国・地域が参加した。国際課税の強化がまとまることで、「GAFA(ガーファ)」と呼ばれる米IT大手を含む多国籍企業は事業戦略の転換を迫られ、日本国内の一部大企業にも影響が及ぶ見通しだ。 デジタル課税は多国籍企業の利益率が10%を超える部分について、その20~30%を事業を行う各国での売上高に応じて配分する。国内に該当企業の本社や工場などの事業拠点がなくてもサービス利用者がいれば課税できるようになる。導入から7年後に状況を再確認し、円滑に運用されていれば売上高水準を100億ユーロ(約1兆3千億円)に引き下げて対象企業を広げる。 最低税率については具体的な税率をさらに詰める。「経済特区」に誘致した企業の法人税を減免している中国や、アイルランド(12・5%)など低税率国の反発に配慮し、税負担の軽減措置も設ける。対象企業の利益から、工場など有形資産の取得費用や従業員の人件費の5%以上(当初5年間は7・5%以上)を差し引いて課税する方針だ。 今月9、10日の20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議はOECDの大枠合意に基づいて議論を進め、先送りした課題を含め10月の最終合意を目指す。実現には参加国による多国間条約の締結や各国の国内法改正が必要になる。
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