Pages

Friday, June 26, 2020

【THE INTERVIEW】発酵学者・文筆家 小泉武夫さん - 産経ニュース

小泉武夫さん
小泉武夫さん
その他の写真を見る(1/2枚)

□『食いしん坊発明家』(新潮社・1400円+税)

■人生、恋よりも食い気 胃袋刺激する抱腹の自伝的小説

 「書きながら何度も笑ってしまいました」

 チャーシュー麺を食べたときには〈脂肪のペナペナとしたコク味〉など独特の表現で味覚と視覚を刺激する。ちゃめっ気たっぷりで気取らない文章は明るく、読む者を幸せな気持ちにさせてくれる。

 本書は食のエッセーで人気の小泉さんの自伝的青春小説だ。

 福島県にある日本酒の蔵元に生まれた“食いしん坊ガキ大将”が、東京の大学で発酵学を学び、その知識を武器に、新しい食品を生み出していく。発明に没頭する様子が面白おかしくつづられている。

 「幼いころから台所で母や姉たちの料理づくりを見ているのが好きでした。食いしん坊だったからいろんなことを考えるのです」

 大学を卒業したものの、就職はせず、画策して父親の酒造会社の東京営業所を設立。その所長として親のすねをかじる日々。たった一人の職場で食へのこだわりが開花し、未知の味の発見へと導かれる。慰安旅行として北海道に。たまたま立ち寄った牧場で、市場価格が暴落して出荷されなかったカボチャの話を聞く。それがヒントとなり、カボチャを原料に「黄色い砂糖」を生産。特許を取得し、特許権を食品会社に譲渡。

 また捨てられてしまうエビの殻を、ラードで揚げた香ばしい調味料を開発。なじみの中華料理店でそれを使ってエビチャーハン、エビラーメンなどとしてメニューに加えると大人気に。この特許権は製菓会社で使われ、スナック菓子のヒットとなった。

 「食べてひらめけ、ということですね。この小説の中での発明は本当のことです」

 廃棄されてしまうものを利用しているというのがミソだ。

 「使えるものは使わないともったいないですからね」

 小泉さんは味わい深いエッセーを数多く書いているが、小説もしみじみとして滋味あふれる。

 昭和20年代から30年代、阿武隈(あぶくま)山地の恵まれた自然の中で育った少年時代。食にまつわるエピソードが痛快だ。中学時代、台所の乾物置き場からスルメを探し出し、あぶってポケットに詰め込んで遊びに出てしまう。空き地で食べていると、その匂いにつられて寄ってきた犬にしつこく追いかけられ、木に登って逃れたことも。さらに通学用のかばんには、魚の缶詰とともにマヨネーズ、しょうゆまでも入れていた。腹が減れば仲間の悪童が畑から盗んだ熟したトマトを、神社に隠れてかぶりつくという具合。ゆるくおおらかだった時代の空気が漂う。

続きを読む

Let's block ads! (Why?)



"魚の缶詰" - Google ニュース
June 27, 2020 at 12:00PM
https://ift.tt/3844yy9

【THE INTERVIEW】発酵学者・文筆家 小泉武夫さん - 産経ニュース
"魚の缶詰" - Google ニュース
https://ift.tt/35QqHx6
Shoes Man Tutorial
Pos News Update
Meme Update
Korean Entertainment News
Japan News Update

No comments:

Post a Comment