ゼネコン大手、大林組の蓮輪(はすわ)賢治社長は20日までに産経新聞のインタビューに応じ、9月中旬にすべての社内文書で従来のはんこによる押印手続きを廃止したことを明らかにした。ゼネコン大手では、竹中工務店や清水建設も来年度までに社内文書での脱はんこを完了させる方針で、建設業界のデジタル化が進む見通し。
蓮輪氏は、新型コロナウイルス禍で管理業務のデジタル化が促されたとした上で、「感染拡大時も執務環境が保持できるように、はんこを使った押印手続きをなくしてデジタル認証にしたほか、約5000台ある社内の全パソコンを年内に(自宅で作業できる)ノートパソコンに変えることにした」と述べた。
建設業界では、竹中工務店も社内文書での脱はんこを令和3年末までに完了させる予定。清水建設も今年度中に社内の全書類の約80%で押印廃止が完了する予定で、3年度中に100%を達成する見通しだ。同社の担当者は「コロナで在宅勤務が促進される中、押印のために出社するのはコロナ対策にならない」と指摘した。
一方、社外文書については下請け先の業者のデジタル化の状況が異なるため、脱はんこの進展は社内文書よりも遅れる見通しだ。竹中工務店は4年から取引先と調整しながら進める方針。大成建設の担当者は「コロナ後は電子契約にしてくれと業者から言われることも増えている」と話す。ゼネコン各社では社外との契約書などで印鑑を使う場面が多く、労働生産性を高めるためにデジタル化を進めてきたが、新型コロナがこうした取り組みを後押しした形だ。
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