よく知られているように総合商社は「海外で活躍できる」「経営人材になれる」「高給取り」といったイメージが強く、今も昔も就活生の人気が高い。中でも伊藤忠商事は就職情報サイト・マイナビの「大学生就職企業人気ランキング」(2022年卒)で4位と商社業界で群を抜く(下図参照)。 【図】伊藤忠が就職人気で上位に (外部配信先では図やグラフを全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください) コンビニやアパレル、食料など消費者に身近なビジネスを行っているほか、脱スーツ・デーや朝型勤務の導入など働き方改革も積極的に打ち出している。今年4月1日の入社式ではコロナ禍において桜300本を設営するサプライズ演出を実施し、話題となった。
『週刊東洋経済』5月31日発売号は「商社 大転換」を特集。脱炭素やデジタル化の大波が商社業界に大きな変革を促す中、5大商社の最新序列やビジネスの最前線、トップインタビューをそろい踏みで掲載している。そこで見えてきたのは商社のビジネス環境の潮流の変化が、新卒採用にも大きな影響を及ぼしている事実だ。 週刊東洋経済の取材によれば、5大商社の2022年卒の本エントリー数(エントリーシートなどを提出した数)は、少ないところで3000人から人気商社で6000人程度。ここ数年間大きな変化はなく、商社の就職人気は高水準が続いている。一方、近年、総合職の採用数は明らかに縮小傾向となっている。
■総合職採用数は5年で2割も減少 2021年卒の総合職入社数は、5大商社合計で552名。商品市況急落の「資源ショック」が起きた16年の702名をピークに、2割以上も減少しているのだ。 この理由について各社事情は異なるが、共通項としてあるのは、商社のビジネスの主軸が人手のかかるトレーディングから比較的規模の大きい投資先の事業経営へと移ったことで、営業現場から人員数拡大が求められなくなっていることだ。
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