アップルやフェイスブック(FB)などの米巨大IT企業が、直接ぶつかり合う場面が増えている。10億人規模の利用者を抱える巨人たちが、覇権をかけて争う構図だ。せめぎ合いが激しくなっているのは、なぜなのか。(サンフランシスコ=尾形聡彦)
おがた・としひこ 1969年生まれ。サンフランシスコ支局長として米巨大IT企業を取材。シリコンバレーへの赴任は3度目。
7月29日の昼下がり、カリフォルニア州マウンテンビュー市のグーグル本社。コロナ禍でのオフィス閉鎖を経て、ようやく一部の社員が出社しはじめた本社を訪れると、屋外に白いテントを張った南国のような会議スペースがいくつもしつらえられていた。
その2日前に発表された、親会社「アルファベット」の4~6月期決算は、年央ながら売上高も純利益も四半期として過去最高益を記録。純利益は、4~6月の3カ月間だけで前年同期の2・7倍の185億ドル(約2兆円)に達した。トヨタ自動車の年間の利益に匹敵し、ソニーの年間利益の2倍近い。コロナ禍でさらに強さを増したグーグルの本社には、余裕が漂う。
西海岸特有のカラリとした風が流れる屋外で、グーグルのスマートフォン「ピクセル」の開発を主導するハードウェア部門責任者、リック・オスターロ上席副社長が取材に応じてくれた。秋に投入する新型の「ピクセル6」と「ピクセル6プロ」を手に、「我々は、このスマホをプレミアムになるように設計した」と語気を強めた。
「プレミアム」とは、価格の高い最上位機種を意味する。グーグルは自社製のチップ「テンサー」を初めて組み込んだ最上位機種を投入。これまではアップルのiPhone(アイフォーン)の独壇場だった領域に踏み込み、直接競う考えを鮮明にした。オスターロ氏は「消費者の2割は、非常に明確に、最新で最も優れた製品しか求めていない」と私に説明し、「(スマホの)プレミアムの分野は複占(2社による独占)だから」と、スマホ市場を分け合うアップルへのライバル心をむき出しにした。
日本ではGAFA(ガーファ…
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