【ワシントン=塩原永久】米フェイスブックを独占禁止法違反で提訴した米連邦取引委員会(FTC)は、同社による競合企業の買収が「消費者の選択肢を狭めている」として、写真共有アプリ事業などの売却という踏み込んだ判断を裁判所に促している。「GAFA(ガーファ)」と呼ばれる米巨大IT企業に対する厳しい世論や政界の姿勢を映し出した形だ。
FTCとともにフェイスブックを提訴した州や特別区などの司法当局は48に上り、ほぼ全米の州が同調した。米検索大手グーグルを提訴した米司法省と並び、独禁法を所管するFTCにとり「歴史上、もっとも重要な訴訟」(米コロンビア大学のウー教授)と専門家に受け止められている。
原告側が主に問題視したのは、IT大手が事業拡大のため駆使してきたM&A(企業の合併・買収)だ。フェイスブックによる写真共有アプリ「インスタグラム」と通信アプリ「ワッツアップ」の買収について、「潜在的な(脅威となる)新興ライバル企業を標的」(FTC幹部)にM&Aを仕掛け、将来の競争の芽を摘んだと批判。市場で独占的な地位を維持するための「組織的な戦略」(同)に取り組んできたと断じた。
一方、フェイスブックは買収当時、買収計画を審査して異を唱えなかったFTCが「先例を覆そうとしている」と反発している。独禁法の専門家の間でも、原告が同社の違法性を立証するのは簡単ではないとの見方があり、激しい法廷闘争となる見通しだ。
ただ、米下院の反トラスト小委員会がまとめた報告書がGAFAの事業分割を提言するなど、“GAFA包囲網”は狭まっている。英国の競争当局が8日公表したIT大手の新たな規制案も、M&Aの監視強化や企業に高額の罰金を科す仕組みを盛り込み、デジタル分野で強大な影響力を握るGAFAには各国から厳しい目が向けられている。
今後もGAFAの独禁法違反を問う訴訟が増える可能性があり、事業規模の拡大に突き進んできた巨大IT企業にとっては訴訟対応が経営の重荷となりかねない状況となってきた。
からの記事と詳細 ( 狭まるGAFA包囲網 厳しい世論反映、事業売却を要求 米当局がフェイスブック提訴 - 産経ニュース )
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