米連邦取引委員会(FTC)は12月9日(現地時間)、米Facebookを独禁法違反の疑いで提訴したと発表した。InstagramやWhatsAppなど、将来競合する恐れのある新興企業を買収し、競争を阻害したとし、両社の売却を要求している。米46州、ワシントン D.C.、グアムの司法長官も同日、Facebookを独禁法違反の疑いで提訴した。
FTCの提訴の趣旨
FTCは53ページにわたる訴状(リンク先はPDF)で、2012年のInstagram買収と2014年のWhatsApp買収は、自社によるSNS独占への脅威を排除するための戦略の一環だったと主張する。
FTCは2社の売却を促す恒久的な差止命令を求めるとしている。また、Facebookがサードパーティーのアプリ開発者に対して反競争的条件を課すことを禁じようとしている。
「初期のライバルMySpaceを倒して独占力を獲得して以来、Facebookは反競争的手段を通じて防衛を行うようになった。InstagramとWhatsAppという強力な競争上の脅威を特定し、これらを買収することで脅威を鎮圧した」としている。FTCはマーク・ザッカーバーグCEOが2008年のメールに「競合するより買った方がいい」と書いたことなど、Facebookの買収戦略を反映しているとみられる複数の例を挙げた。
FTCは、Facebookが競合するサードパーティー開発者に対してAPIへのアクセスを制限することも違法だとしている。Facebookは米Twitterの6秒動画アプリVineがAPIによるFacebookユーザーへのアクセスを遮断した。
州司法長官らの注目点
州はFacebookの調査でFTCと協力したが、FTCとは別にFacebookを提訴した。こちらでは、Facebookの独占力の維持のためにユーザーデータの収集が果たす役割に注目している。Facebookはユーザーデータを集めることで、ユーザーが他のサービスに切り替えにくくするような体験を提供できるとしている。州は、消費者、広告主、競合企業に害を及ぼしていると主張する。例えば広告主は、広告の価値の透明性を制限されており、「Facebookの不快なコンテンツ」でブランドを傷つけられるという被害を受けているいう。
ニューヨーク州司法長官のレティシア・ジェームズ氏は「競争を阻害し、中小企業を傷つけ、革新と創造性を減らし、プライバシー保護を怠るFacebookと全力で対峙する」と語った。
Facebookの声明
Facebookはこれらの訴訟についてすぐに声明文を発表した。FTCは2社の買収について当時承認しており、これを覆すことは危険な前例になると主張。「われわれは、競争の激しい市場で事業を展開し続けている。われわれの買収は、市場の競争、広告主、消費者のすべてにとって良いものだった。Facebook、Istagram、WhatsAppが同じ企業に属し、優れた製品とメリットを競う証拠が示せると確信しており、法廷での1日を楽しみにしている」と、争う姿勢を見せた。
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