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Monday, August 9, 2021

東電再建計画 利益確保に欠かせぬ信頼回復 - 読売新聞

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 東京電力ホールディングスが新しい再建計画をまとめた。福島第一原子力発電所事故後の賠償や廃炉、除染などの費用を捻出するための計画で、約3年ごとに策定している。

 昨年春に作成する予定だったが、相次いだ不祥事の影響などにより、1年以上遅れた。

 不祥事や電力販売の競争激化で東電の経営環境は厳しさを増している。収益力を高め、原発事故の処理を確実に進めるには、まず信頼回復に全力を挙げるべきだ。

 事故処理にかかる費用約22兆円のうち、約16兆円を東電が負担する枠組みは前の計画から変えなかった。2030年度以降、廃炉などの費用を毎年5000億円負担した上で、4500億円の利益を上げることを目指している。

 東電には、福島の復興が確かなものになるよう、計画を着実に実行していく責任があるが、その道は険しいと言わざるを得ない。

 収益改善に不可欠な新潟県の柏崎刈羽原発の再稼働は、最短で22年度と想定している。前計画より遅らせ、安全対策の徹底と地元の理解を大前提にするとした。

 計画は、柏崎刈羽原発が再稼働すれば、1基あたり年約500億円の利益の押し上げ効果があると見込んでいる。ところが、所員が他人のIDカードを使って中央制御室に入るなど、今年、テロ対策の不備が次々に発覚した。

 原子力規制委員会が核燃料の移動禁止命令を出したため、早期の再稼働は見通せていない。

 計画では、信頼を取り戻すため、東電の組織や体質に踏み込んで抜本的な改革に取り組むと記している。人事配置を見直すほか、企業統治の専門家の指導を得て組織の弱点を洗い出すという。早期に具体策を打ち出さねばならない。

 電力販売では、電力小売りの自由化により、約3割のシェア(占有率)を新電力に奪われている。新たなビジネスで、稼ぐ力を高めていくことが重要だ。

 計画は、温室効果ガスを排出しない脱炭素に向け、30年度までに再生可能エネルギーや送電網などに最大3兆円規模を投じ、収益源にする方針を盛り込んだ。

 洋上風力発電や海外の水力発電事業といった再生エネ関連で、30年度までに年1000億円の利益を確保する目標を掲げている。

 ただ、洋上風力の拡大には技術的な課題が残っているほか、コストの引き下げも容易ではない。東電に、海外事業のノウハウは乏しい。他業種の企業や海外企業との連携を強化する必要がある。

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